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脱却とは?/ キャッシュワン

[ 666] 崩壊した「人月からの脱却」:ITpro
[引用サイト]  http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20080314/296254/

2008年3月15日号の日経コンピュータで「ITコスト」を取り上げた特集を組んだ。企画の段階で,「○システムなら△円」といった指標が出せないものかと考えたのである。そうした指標があれば,ユーザーがベンダーと交渉したり,逆にベンダーがユーザーに提示する相場観の目安となる。想定したのが不動産情報だ。「新宿のビルで□坪なら×円」といった情報を提供したかった。
そこでユーザーのIT部門とベンダーの両方に取材したのだが,「相場は難しいんじゃない?システムは会社によって違うから」という反応がほとんど。それに続いて「それよりも…」という冒頭の言が出てくる。どうも完成品であるシステムの機能や価値ではなく,それを作るためのコストを問題視しているようだった。
長らく使われてきたこの人月単価や人月計算を,ユーザーとベンダーの両者が止めたいと思っている(注1)。だとすれば,特集のタイトルは「人月からの脱却」だ。ソフトウエア開発の名著「人月の神話」も想起させられる。「崩壊する人月単価」もいいかもしれない。昔から言われていたことだが,ついにその時がきたか。当初立てていた「ITコストの相場観」はもうやめ。記者的な勘でそう決めた。
しかし,取材を進めるにつれて,筆者は悩み始めた。ユーザーとベンダーの「人月からの脱却」の意味するものが,かみ合っていなかったからだ。以下は取材を通して得た証言を基に構成したものだ。
ベンダー:「人月はシステム開発のコストです。クルマを買いに来たユーザーに,『ネジなど部品の材料費まで開示してください』と言われて応じますか。しないですよね」
ユーザー:「それはそうだけど,クルマは大量生産する工業製品でしょ。であれば100人月とかいうけど,そもそもその規模の見積もり自体妥当なの」
ユーザー:「見せて納得させてほしいんだけどね。あとさ,技術者10人とか言ってるけど,うちにくるスタッフの人数を数えても,そんなに来ていないし,ベンダーのオフィスで働いているようにも思えない」
ユーザー:「やっぱり納得いかないな。それとさ,プロジェクトの想定コストが超過したから,20人月分を追加で負担してくださいって言うけど,それって会社で言えば『残業したもの勝ち』じゃない」
ベンダー:「ユーザーさんが途中で仕様を変えたのが影響しています」(そもそも最初の仕様も我々が書いてあげたのに…)
ユーザー:「じゃあ5割引きで10人月の追加ということで会議に通すよ。社内や経営陣に説明するのには,やはり人月。しょうがないんだよね」
話を総合すると,「人月からの脱却」の意味するところは,ベンダーが「ユーザーに“原価”を見せたくない」,ユーザーが「ベンダーの“残業代”を払いたくない」ということ。話がかみ合うはずはない。
こうした人月を巡るコストの応酬が、両者の間で実際になされている。脱却を夢見ていても,「人月」に頼り切っているのが現状だ。取材の前提が崩壊した。筆者は“腹の探り合い”からの脱却が必要だと考えるようになり,取材先で聞き回った。そうしてできたのが「人月からの脱却」改め,「納得できるITコスト」という特集である。
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